裏窓

Cinema

(1954年/アメリカ)

今回は生まれて初めて見るヒッチコック。本当は「鳥」に一番興味があったのですが、あえて寄り道をして、ヒッチコック随一の名作とも言われているらしいこの作品から。

作品を見ずとも「ヒッチコック」=「サスペンス」という公式が頭の中で出来上がっていたので、映画が始まる前からかなり身構えていたのですが、軽快なジャズとともに窓のブラインドが順番に上がって、正面のアパートメントの住人たちの様子がユーモラスに映し出される。

主役のジェームズ・スチュアートも左足骨折のギブス姿で何とも間が抜けていて、とてもサスペンス映画の主役に見えない。そんなジェフリーズ(=ジェームズ・スチュアート)の隣人観察についつい我々観客も便乗してしまって、主役とともにミス・ロンリー嬢に同情してしまったりしている。

映画が7割くらい進んだところでようやくサスペンス調になってくるんですが、さすがにこの辺はどきどきさせられました。でもやっぱり主役が窓から落ちるシーンの特撮(!)なんかは思わずクスっときましたし、なんというか「古き良き時代の娯楽映画」という感じがしました。

そういう意味では私にとってヒッチコックとは、ミュージックシーンにおける「ビートルズ」のような存在なのかもしれません。中学生の頃に「バンドをやるならこれを聴いておけ」とビートルズを聴かされたのですが、「なんじゃ、この古臭い音は」と当時その良さを全く理解することができませんでした。それがあれから30年(!)の時を経て最近になってiPhoneで初期のヒット曲を改めて聴き直して、「さらっと聴かせるてるのに、なんや難しいリズムだな」とか、コーラスワークの凄さとかを思い知らされています。

例によって深夜に「裏窓」を見終わって、DVD特典の「メイキング」を見ていたのですが、本編よりも長いんじゃないかというくらいスタッフたちがヒッチコックの凄さを語ってくれていて、とうとう途中で寝てしまいました。

ということでヒッチコックの本当の凄さというのを分かるのはまた30年後のことになるのかもしれません。一体幾つだ?

書き忘れましたが、(しかもヒッチコックとは何の関係もないですが)グレース・ケリーの美しさたるや、東京物語の原節子さんの時と同じくらいに「これぞ女優」という感じがしました。

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