(2015年/アメリカ)
主演ジョニー・デップ氏の「まさか」の髪型が当時話題になった作品。
幼馴染みのFBI捜査官とデップ氏演ずる犯罪組織リーダーによる「癒着」というFBI史上最悪な実話スキャンダルです。
しかしこういう犯罪ものって、『ディパーテッド』や『裏切りのサーカス』『ミスティック・リバー』など個人的にイマイチ入り込めない作品が多いんですね。
アメリカ映画頻出のFBIという組織のこともよく分かりませんし、今や日本でも警察官よるスキャンダルなんて日常茶飯事ですし。
あらためて調べてみると2010年代以降のデップ氏の主演作品はかなり評価が低く、「コスパの悪い俳優部門」「もっとも影響力のない人物30人」に選ばれたりしているとのこと。
それにしても「影響力のない」ことの測定方法ってどんなんでしょうね。ちなみに主演映画の低迷についてご本人の弁は「知ったこっちゃない」。仰る通り。
そんなデップ氏による本作の演技は全米映画俳優組合賞主演男優賞ノミネートという久々の高評価。確かに全編に渡って無表情なデップ氏の醸す「不穏な空気」は観ていてヒリヒリするくらいです。
幼い息子へ向かって「友達は人前で殴るな。誰も見てなければそれは無いのと同じだ」と宣ってみたり、部下に「FBIには忠誠心というものがない。一体どれだけの金とワインを届けたと思ってるんだ」・・・どこまでが本心なのか分からないキャラでもありますが、「何でやねん!」とツッコんだ瞬間に撃ち殺されそうです。ああ怖。
というわけで「根っからの犯罪者」がFBIへの密告者として暗躍した実話、というものに興味がなければデップ氏の演技と頭皮をただ観続けるしかない、という作品でした。
コメント
「根っからの犯罪者」がFBIに協力していたとは!彼は犯罪者に対しても犯罪者であったということなんでしょうか。毒を以て毒を制す、清濁併せ飲む、色々やってるうちにごちゃごちゃになったのかも知れませが、彼らが幼馴染みだったいう点がこの話をドラマチックにしているポイントかも知れませんね。
いずれにしても、無表情で多くを語れる男を目指す私としては、ジョニー・デップ氏の演技を見て勉強しなければと思いました。
「犯罪者に対しても犯罪者であった」言い得て妙ですね。
仰る通り「幼馴染み」というのがポイントで、そういう曖昧な絆で繋がりながら、それぞれの世界で立身出世を目論んだ男達の話とも言えます。そしてFBIの上司として乗り込んできた「しがらみのない」男がそれをぶっ壊すという構図・・・企業とかでもありそうな話ですね。
デップ氏の無表情はどちらかというと「何も語ってこない怖さ」系の演技なので、ここはモーガン・フリーマン氏の眉毛の動きひとつで感情を伝える演技をご参考にされる方が無闇に周囲に不穏な空気を生まずに済むかもしれません。