(1993年/アメリカ)
言わずと知れたスピルバーグ監督によるホロコーストを題材にした作品。
マーティン・スコセッシ監督の『沈黙 -サイレンス-』ばりにヘヴィなことは重々承知の上で、それでもずっと避け続けるわけにもいかず鑑賞。
真正面から描かれるホロコーストへの道程は想定どおりのしんどさですが、救いはシンドラーことリーアム・ニーソン御大の存在。
ドイツ人によるユダヤ人への組織的大量虐殺という構図の中で一線を画すその存在感はこの映画を観る側にとっても、そして恐らく当時のポーランド系ユダヤ人たちにとっても唯一の救いだったと思われます。
『ザ・シークレットマン』での御大もそうでしたが、そもそもこういう役者さんだったんでしょうね。この存在感を知ると、むしろあの「96時間無敵親父」の方に違和感があります。
映画全体として、もっと悲惨さを出そうと思えば出せたでしょうし、もっとドラマティックな英雄譚にしようと思えば出来たでしょうし、でもそこを絶妙なバランスで(あのスピルバーグ監督が)中道を保ったところにこの作品の品格があるのでしょう。「この映画を600万人の犠牲者に捧げます」というラストのテロップのように、「この車を売り飛ばせばあと4人は救えた。このバッチを売れば1人の人間を救えた」というシンドラーの咆哮のように、彼のリストに「載れなかった人たち」の無言の重さたるや。
ヘヴィなことは重々承知の上で、それでもやっぱり観るべき作品と言えましょう。
コメント