(2017年/アメリカ)
自ら女優でもあるグレタ・ガーウィグさん脚本・初監督にして映画批評サイトで長らく支持率100%を記録した作品とのこと。
主人公は一色紗英さんのような、ちょっとこましゃくれた雰囲気のシアーシャ・ローナン嬢。自らつけた「レディ・バード」というニックネームを周りに押し付けたり、母親とも友達ともボーイフレンドともどこかしっくりいかず、絶えず行き場のない苛立ちを抱えている女子高生の話です。
たまたまこの前観た『マイ・プレシャス・リスト』も同じ年ごろの女の子が主人公でしたがずいぶんと雰囲気が違い、こちらはそれぞれのエピソードが地に足のついた描かれ方で、ピースの大きさが微妙に合わないジグソーパズルのような人間模様が自然です。
特にドラマティックなことが起こるでもなく、ほんの少し素直になった風なラストの主人公を観ながらも「いやいや、これからもあちこちにぶつかりながら生きていくに違いない」と思わせる・・・これがこの映画の凄みなのでしょう。
「色々ございましたがこれにて一件落着。この後主人公は幸せに暮らしましたとさ」というのも映画のカタルシスのひとつですが、本作のように「あなたくらいの年頃の不器用さは見ていて痛いけれど何とかやっていけるはず。私だってこうして何とかやってきたのだから」というタイプの昇華ってなかなかできるものではありません。「北風と太陽」の太陽のような。
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