(2018年/アメリカ)
これもジャケ買いの一作。そして正直なところ全く期待していなかったのですが。
退役兵でPTSDの父親とともに森に引き篭もって生活する中学生か高校生くらいの娘という親子が主人公です。
父親役のベン・フォスター氏の頼もしさもありつつ、精神の不安定さを秘めつつ、という相反するキャラクターを行き来する演技も秀逸ですが、娘役のトーマサイン・マッケンジー嬢も負けていません。
この父娘が公園管理協会だか警察だかに捕まって強制的に住居に住まわされて、仕事に就かされるのですが、耐えられない父親は娘をつれて逃げ出して、再び森へ・・・という流れです。
捕まって取り調べを受けるときに精神鑑定テストを受けさせられるのですが、自然の中で自由に暮らしていた二人には、見ていて何とも窮屈で残酷なんですね。次の瞬間、父親が暴れ出しそうでヒヤヒヤしました。
年齢的なこともあって父親に付いていかざるを得ない娘ですが、自立心も出てくる年頃で、少しずつ父と乖離しながらも放っておけなかったり・・・そして迎えるラスト。PTSD、自然と社会、自由であることと管理されるということ、様々な問題を提示しつつも、真っ芯には「親と子の自立」がテーマです。
これは娘を持つ父親が観たらちょっとたまらないんじゃないでしょうか。これが夫と妻とか、父と息子だったりするとちょっと違ってくる気がします。
編集的にはカットが少しだけ冗長気味で、普通はここでカットするだろうというタイミングから少しだけ長い。何か起こるのかな、と思いきや何も起きない。そうすると何だかドキュメンタリーを観ているような感じになるんですね。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のような。そういえばベン・フォスター氏はちょっとデヴィッド・モース氏にも似てる気が。
何はともあれ、思いがけず良い映画でした。
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