地獄の黙示録

Cinema

(1979年/アメリカ)

言わずと知れたフランシス・フォード・コッポラ監督によるベトナム戦争を描いた大作。今回観たのは監督が再編集して2001年に公開された『特別完全版』で上演時間は本作最長の202分、3時間22分(劇場公開版153分、ファイナルカット版182分)。大作です。

ベトナムの奥地で教祖のごとく「王国」を作っているらしいアメリカ軍人カーツ大佐を暗殺する命を受けたウィラード大尉は現地の「地獄」を目の当たりにして・・・という内容ですが、当時の評論家からは「ストーリーもあるようでないようなもの」という論評もあったそう。

しかしながら、込み入ったストーリー展開なんてなくても、この戦争の大義なきゆえの不毛さが心底伝わってきます。「愛を知りながら、人を殺す」という言葉が時折出てきますが、彼の地ではごく自然に機銃掃射して、帰国したらごく自然に家族を愛して・・・なんてわけにもいかず、そりゃPTSDにもなるわな、と。

『2001年宇宙の旅』ですとか『十戒』ですとか、ストーリーとか演技とかそういう細かいことを通り越した「映画体験」のための作品のひとつでしょう。いわば津波や噴火のように抗いようがなくて「なんか凄いものに遭遇したな」ということしかありません。

カーツ大佐にはゴッドファーザー、マーロン・ブランド氏(こんな人だっけ?)。男前のウィラード大尉のマーティン・シーン氏は『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』や『ディパーテッド』にも出られていたらしいのですが、全く覚えてません。『マトリックス』のローレンス・フィッシュバーン氏、チョイ役でハリソン・フォード(役名が「ルーカス大佐」って・・・)、デニス・ホッパー両氏という豪華キャストですが、どこで出てたんでしょうか?

そういう意味でも自然災害級体験型作品といえましょう。噴火で逃げ惑う中「あれっ!?えーと、どこかでお会いしたことありましたっけ?」なんてやってられないわけで。

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