美しき諍い女

Cinema

(1991年/フランス)

広大な古城でモデルだった妻と二人暮らしの気難しい老画家の元に訪れた若い画家とその美しい彼女マリアンヌ。彼女をモデルにして、妻では果たせなかった作品『美しき諍い女』の制作に再び取り掛かるのだが・・・というストーリー。

マリアンヌ役のエマニュエル・ベアールが気まぐれな猫のようにコケティッシュで魅力的です。そして238分という長尺な作品の多くを全裸で出演していて、日本で公開されたときは「ヘア論争」が巻き起こったのだそう。そこですか?という感じですが。

映画で特徴的なのは「物音」で、ヘッドフォンをして視聴しているからかもしれませんが、靴音や衣擦れやカンバスを絵筆がガリガリ擦り付ける音が耳に刺さります。それが意図的なのか、そうであるならどういう効果があるのか分からないですが、映像と対等に「物音」があるんですね。

最初は彼氏への反抗心から(?)ヌードモデルとなったマリアンヌにも、この作品で起死回生を果たさんとする老画家にも、「アーティスティックな転換」によって、~フランス映画的に~冗長な映画にうねりが生じている・・・と思われるのですが、あまりにも内面的なので傍目からは何が起こっているのかよく分かりません。

でも分からないからといって、「アーティスティックにうねる映画を観た」ということに変わりはないわけで、フランス映画的に面白いものを観たなぁ、と。こんな作品を「ヘア論争」に貶めることの愚かさたるや。

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