西加奈子(2008年/小学館)
図書館から借りている本が手元に溜まっているので、もう片っ端から読んでいる状態で、本作は西さんの作品にもかかわらず泣かずに読了かと思って気を抜いたラストの3行で泣かされてしまいました。西先生、油断も隙もありません。
西さん作品の定番ともいえる、最初はシンドイ登場人物がどんでん返し的に変化をしていくストーリーなのですが、今回は最後までシンドさを引きづって土俵際いっぱいでのうっちゃり、技ありです。
アントニオ猪木全盛のプロレスブーム、当方も毎週テレビにくぎ付けでした。だからといって感情移入がしやすいかというと然に非ずで、「あの時代のプロレスをベースにしてこんな小説が書けるなんて」という驚きがあるのみです。
同じものを見聞きしていたとしても、凡人と才人とでは斯くも違うものなのです。即ギブアップ。
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