しろいろの街の、その骨の体温の

Book

村田 沙耶香(2012年/朝日新聞出版)

これも西加奈子さんお薦め本。そもそも村田沙耶香さんは日本経済新聞夕刊のコラムを週1回半年担当されていて、それが好きだったんですね。

『「走らせている人」たち』という文章なんかEverNoteに残したりしてます。「皆、車や電車で窓の外に人間を走らせているじゃん? 赤信号とか駅で停まったとき、その人間、どうさせている?」という内容。その場にいたメンバーでは「走らせてる人?何それ?」という人(私もそう)と「分かる、分かる」という人、半々くらいだったそうです。

作家仲間から「クレージー沙耶香」の異名をとるだけあって、普通とは違う道を平行線で走っておられるような不思議な感じのする方だなぁ、と。

たまたま図書館で見つけて、小説は初めて読みました。個人的にも昭和の団地世代なので「街がどんどん変わっていく」という感覚が懐かしくもよく伝わりました。そして小学生から中学生の難しい時期に主人公の女の子の繊細にして暴力的ともいえる内面がストレートに描かれています。

元男の子の立場としては「あぁ、女の子って大変だな」というような外から目線でしか見ることはできないのですが、それでも彼女の、街やクラスに対する閉塞感は読んでいて息苦しくなるくらいでした。

途中が冗長気味だったり、ラストが駆け足な感じであったりという感じを受けたのですが、小説全体として力強いものを読んだなぁ、という感想です。今の小中学生ってもっと大変だったりするんだろうな、とも。

ちなみに本作品について村田さんと西加奈子さんの対談があって、こちらもとても面白いです。
https://www.bookbang.jp/review/article/517015

コメント