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西加奈子(2014年/講談社文庫)

作者の西加奈子さんと椎名林檎さんの対談を見て、元々は椎名さん目当てで見たにもかかわらず、西さんのキャラクターや発言が素晴らしすぎて、対談に登場した作品を読んでみたい、と。

番組中にも作品の一部が紹介されたりしていたのですが、読んでみると印象が違いました。

主人公の葉太(ようた)君が29歳のニューヨークひとり旅で様々な人種の人たちとの交流を経て自意識過剰さが変わっていく・・・という物語かと思いきや、「様々な人種の人たちとの交流」はほとんどなく、あくまで彼ひとりで徹底的に空回りしてました。本当に徹底的に。

逆にニューヨークひとり旅ということで、周囲の人との交流が無い状況が彼の自意識フル空回転にさらに油を注いでいる結果となっているのでしょう。

とはいえ、彼の純度の高い自意識過剰さには読んでいて「分かるなぁ」と思えるところが沢山あって、全く他人事と思えないどころか、昔の自分の日記を読み返しているような寒気を覚えました。怖。

葉太くんがニューヨークを散策する場面では、ストリートビューで実際にその通りを移動したりして(正確に辿れていないにせよ)臨場感を味わえました。タイムズスクエアからセントラルパークのシープ・メドウまで。5番街からハイライン、ハドソンリバーまで。

葉太くんの自意識に意識がいきがちですが、彼の持つ「特殊能力」も物語のアクセントになっていましたね。特にグランドゼロに至ったぐらいからの展開が圧巻でした。

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