(1977年/アメリカ)
「いつかは見ないと名作シリーズ」より。これもこういう企画でもしないとわざわざ見ない一作です。だいたいジョン・トラボルタ氏のしゃべり方が好きじゃないですね。しかもこのジャケットですからね。ビージーズのディスコミュージックと相殺してややマイナスなのかな、という鑑賞前の値踏みです。
というわけで、冒頭からジョントラボルタがペンキ缶片手にブルックリンの汚れた町を軽快に闊歩し、そのステップが音楽にシンクロしているというダンス映画らしい滑り出しです。ペンキ缶片手に道行くマブい女性にちょっかいを出したりする。
もちろんディスコやダンスシーンがメインなのですが、トラボルタ演ずるトニーが働くペンキ屋、よくあるダウンタウンの下層で暮らすトニーの家族(ギリギリの所でかろうじて「家族愛」のようなもので繋がっている)。橋を隔てる上流階級の街、マンハッタンとの隔絶。それを象徴するようなトニーとステファニーの会話・・・・・・。そういうものをはらみながら映画は流れていきます。
基本的に「音楽に合わせて踊ることで何かを発散する(あるいは表現する)」ということが全くピンとこない(なぜエグザイルのボーカルの周りにはあんなにたくさんのダンサーがいるのだろう?)ので、「ダンス」を映画の軸にされると根幹のところで感情移入できない気がする。
でもこの映画が、そしてディスコサウンドがこれだけヒットしたんですから、当時のアメリカにはそれを受け容れる下地が合って、大衆の欲求にマッチしたんでしょうね。日本のディスコというとちょっとまた違うような気がしますけれど。
そしてその影響はこんなところにも及ぼされている、と。(奥田民生先生のアルバム『30』の幻のジャケット。この撮影のために持病の腰痛が悪化したらしい。あげくクレームがあって差し替えられた)。
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