(1999年/ドイツ・アメリカ・フランス・キューバ)
これも何の予備知識もなくタイトルだけ見て(もちろん意味は分からないまま)鑑賞。
内容はキューバ音楽の老ミュージシャンたちを取り上げたドキュメンタリーです。タイトルはそのバンド名ですね。
オープンカーがキューバのダウンタウンで「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブってどこだ」と通りがかった老人に訊ねると要領を得ない答えで、そうこうしているうちに住民たちが車に寄ってきて、好き勝手なことを言い始めます。日本だったら喧嘩になるところですが、オープンカーの紳士は「やれやれ」という感じです。そういうお国柄なんでしょうね。
「老ミュージシャン」と書きましたが、本当にヨボヨボのおじいさんが出てきて、それぞれのルーツをキューバの日常の中で語ります。子どもみたいなやり取りや「一体どこで買った?」というような物凄い派手な色のシャツを着ながら足を引きずってとぼとぼ歩く姿など何だか老人施設のドキュメンタリーかと思うくらいです。
そんなおじいちゃんたちによるカーネギーホール公演での艶やかな演奏と立ち居振る舞いたるや、そのギャップにクラクラします。もう音楽の力というか魔法としか言いようがないですね。
特に80歳のピアノのルベーン・ゴンサーレスさん、ステージのピアノに辿り着けるの?というような感じでなんですが、弾き出すや思わず背筋を伸ばしたくなるような力強いタッチとうねるようなリズム感でステージをリードします。いやぁ至芸です。
ストーリーはまるでないのですが、前半のキューバからラストのカーネギーホールまで、ミュージシャンたちのまさに緩急の極みというべき姿に泣けました。2000年のアカデミー賞にノミネートというのも納得です。
コメント
バンドの紅一点、オマーラ・ポルトゥオンド嬢も場末スナックの超ベテランママ5~6名をまとめて一人に仕立て上げたような感じの方なのですが、キューバの容赦なく明るい陽光の下での映像とステージの照明の下での艶やかさのギャップたるや・・・革命の国キューバと自由の国アメリカとのギャップとも相俟って深い余韻を残します。いやいや「日常と悪ノリとのギャップ」くらいを楽しむ人生がベターなのかもしれませんね。
これは名作の香りが色濃く漂ってますねw よぼよぼのジイさん達が音楽と共に覚醒するなんてカッコよすぎですし、最後のライブでそれを際立たせるとは憎い演出です。恐らく彼らはキューバという土地が生んだ音楽そのものなんでしょう。
自分もヘナチョコなおっさんと思いきや…!などと探してみましたが、どこにも覚醒要素無し。思い当たるのは悪ノリ要素ばかりでした(笑)