(2017年/アメリカ)
「映像と音楽のシンクロ」が話題となった作品。
白昼堂々の銀行襲撃から怒涛のカーチェイスというご機嫌なオープニング。テイクアウトのコーヒーを片手に街を歩けばBGMの歌詞と街の看板や落書きがシンクロ。耳の聞こえないおじいさんと暮らすお洒落な部屋で音楽を流しながらのダンスはいかにも楽しげ。良く出来たミュージックビデオのノリですね。
そんな軽いノリで進むのかと思いきや、主人公のベイビー君が負う過去の傷は(ステレオタイプではあるものの)ハードで眉間にいつも深い皺を寄せています。
そんなベイビー君を悪事に引き込むのは、あのケヴィン・スペイシー氏!(「ユージュアル・サスペクツ」、「セブン」、「アメリカン・ビューティー」)これは一筋縄ではいかないわけです。
そんなケヴィンチームが銃密売グループと交渉するのはこれまたステレオタイプな廃工場。BGMはチャンプス「Tequila」。銃器を食肉に喩えての滔々たるセールストークを終えた密売人を即銃殺。瞬く間に銃撃戦となり、銃声がBGMのブレイクとシンクロ。
(銃声→)バ・バ・バ・バ・バン・バン・バン!テキーラ!!
なんなんだこのノリは?
ステレオタイプという意味では、ダイナーの可愛いウェイトレスとすぐさま恋に落ちたり、恋人のお迎えにはキャデラック・・・古き良きアメリカンシネマへのオマージュといいますか、ここまでくるとほとんど「ネタ」扱いですね。
ベイビー君の情緒の不安定ぶり、やおらパルクールな運動神経を発揮したり、ラストで正義を畳み掛けて悪を帳消しにしちゃったりとハチャメチャなところも多々ありつつ、そういうのも含めてジャンクテイストな面白い映画でした。テキーラ!!
コメント
驚異的なドライビングテクニックで追ってから逃げおおせる、アメリカ映画のカーチェイスシーンは迫力ありますよね!これは西部劇のインディアンの襲撃から幌馬車が逃げるシーンから連なる伝統でしょう。しかしながら、昨今の世の中の流れを見ていると、AIが「アブナイ運転をする人間に自動車の運転は許可しません」と言って、全て自動運転になるのも時間の問題の様な気がします。
その様な時代には、追いつ追われつのカーチェイスはいよいよ電脳世界へその舞台を移すのでしょうか。そもそも現金が無くなれば銀行強盗もしようがないですし。
自動運転のカーチェイス!終始安全な間隔を保ったまま、どこにぶつかるでもなく、誰を轢くでもなく2時間延々続きそうです。主人公も敵も運転席で爆睡してたり。西部劇の幌馬車襲撃なんて結構身体張った撮影っぽくてハラハラドキドキでしたが。
あげく完全キャッシュレス社会の銀行強盗!!「おい!これを見ろ!こっそりお前のマイナンバーをメモしてやったぞ!!」映画館の大スクリーンで観る価値なし。
いやぁ、本当に「マトリックス」みたいな映画ばっかりになりそうです。