(2018年/アメリカ)
『メメント』(2000年)のガイ・ピアース氏に5代目007ピアース・ブロスナン氏という豪華共演でありながら、日本劇場未公開、WikiPediaには英語ページしかない、という作品。
なんだか見ないうちにすっかりシュワルツェネッガー氏みたいな風貌になってしまったガイ・ピアース氏が演ずるのは哲学の大学教授。近くの湖で女子学生が行方不明となり、後に死体で発見されるのですが、ガイ教授に嫌疑がかかります。追いつめるのは007刑事。
しかしガイ教授の記憶がなんともあやふやで「やったような気もするし」「そうじゃないかもしれないし」。この辺は否が応でもあの『メメント』の「10分間しか記憶が保てない」主人公を彷彿とさせます。
このガイ教授、5年前に大学で浮気をやらかして、ここに引越&転職したようで、奥さんは終始クールに夫を扱います。それがガイ教授の健忘症と関係しているのかよく分かりません。アル中だったという描写もでてきます。007刑事が「そうやって指先で物をクルクル回すのはアル中患者の癖だ」と。その007刑事も別のシーンでコインか何かを指先でクルクル回していて、それが伏線としてどこかに繋がっているかというとそうでもなく・・・。とにかくはっきりしないことだらけです。
「状況証拠」やあいまいな記憶での「自供」で「真実が歪められる」という恐怖とか、哲学的な意味での「真実」の捉えがたさとかいうのがテーマな風でもありながら、どこにもきちんと踏む込むことなくフワッと終わります。Wピアースによるハリウッド版『藪の中』という感じでしょうか。何もかもはっきりすることが良いわけでもないでしょうし、こんな風に何もかもはっきりしない映画というのもそれはそれで面白かったです。
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