(2017年/イギリス・アイルランド他)
映画解説サイトでのコメントのほとんどが指摘しているとおり、大活劇を予測させるタイトルの致命的なミスリードが詐欺レベルともいうべき、北アイルランドの脱獄事件の映画化。
これもあまたの指摘通り、当時のアイルランド共和国の時代背景が分かっていないとピンとくるものがほとんどありません。
かと言って駄目な映画かというとそうではなくて、主人公のトム・ヴォーン=ローラーは弱そうなのか強そうなのか分からない佇まいも含めてケヴィン・スペイシーを彷彿とさせますし、男前の看守役バリー・ウォードさんは峰岸徹氏にしか見えません。二人の演技にぐっと惹き込まれるものがあります。
そんな二人が奇妙な友情のようなものを形作っていきます。それもこれも脱獄に至って当然ながらいとも簡単に瓦解するわけですが。「犯罪者を信じるから駄目なんだ」ということなのか、「看守だって信じていいじゃないか。人間だもの」というみつを風なのか、「だって実話なんだから、これ以上でもこれ以下でもない」と言われてもそれはそれで腑に落ちません。
要するに何故こんなに手間暇やお金をかけてこの映画を作る必要があったのかが伝わってこないんですね。当時の獄中の悲惨さを伝えたければもうちょっと違う撮り方になるだろうし、前述のとおり「信頼」や「裏切り」というには余りにも淡い捉え方です。
実話モノってときどき「なんでわざわざ映画に?」と言いたくなるものがありますね。
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