(2019年/タイ)
タイ映画はおそらくこれが2本目ですが、1本目の『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の主演女優チュティモン・ジョンジャルーンスックジン嬢が本作主演でもあります。
前作は怒涛の「カンニング」、そして本作は「ミニマリスト」ということで、テーマ選びが秀逸ですね。
北ヨーロッパ留学中、ミニマリストに影響をうけた主人公が物だらけの実家を断捨離することを決意。1か月程で彼女の夢は叶うのか・・・というストーリー。
その過程で元カレとの再会、家やガラクタに執着する母、離婚して家を出て行った父親、揺れる主人公を陰日向に支える兄と建築デザイナーの女友達とのやり取りが描かれます。そして誰もが良い表情なんですよね。たとえばそれが主人公に怒鳴り散らす母親の顔であっても。その集大成が主人公の顔を長廻しで捉えるラストシーンとなります。
時折我らがこんまりさんの発言だったりが挿入されていたのですが、映画のテーマが「(たとえば)ミニマリストってそんな『ときめく』素敵なことなのだろうか」ということだったとして、もしこんまりさんがこの映画を観られてどう思われるのかなと要らぬことを考えてました。
それはもちろん「ミニマリスト」に限らず、世の中に流行っている大抵のことに当てはめて考えれば、「それは光の部分で、実はその陰で誰かを知らないうちにも傷付けているのかも」と。
そんなテーマを軽すぎもせず重すぎもせず伝えてくれる素敵な映画でした。

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