J.エドガー

Cinema

(2011年/アメリカ)

おじいちゃんになったディカプリオが見られる本作。実は以前に見かけていたのですが、あろうことか鑑賞途中で鑑賞期限終了。今回再配信につき再鑑賞です。少し間が空いてしまったので、どうせならとまた最初から観ました。

いつものことながらディカプリオの力の入った演技は(たとえおじいちゃんであっても)健在で、観ていて胃が重くなります。そんな役者さんってなかなかいないですね。

そんなディカプリオ演ずるFBIパワハラ長官エドガーの公私に渡る補佐役はアーミー・ハマー氏。『コードネーム U.N.C.L.E.』(2015年)のロシアスパイ役です。気づかなかった。切れ者の男前の顔なんてもう犬の顔くらいに見分けがつかないです。

もう一人、女性の補佐役がナオミ・ワッツ嬢。この人も言われないと気づかないんですよね、いっつも。『マルホランド・ドライブ』(2001年)、『ドリームハウス』(2011年)、『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』(2015年)・・・もっと観ているような気がしますが、それにしても「ナオミ・ワッツ」と言われても顔が浮かびません。これが「スカーレット・ヨハンソン」ならパッと浮かぶんですが。これは良し悪しというよりそういうタイプの役者さんだということなのでしょう。個人的に「似顔絵にしにくいタイプ」というか。

さて、FBIという組織に一生を懸けたエドガー氏の若かりし頃とおじいちゃん期を行ったり来たりしながら進むこの映画の監督はあのクリント・イーストウッド御大!やはり御大の監督作品に通底する「アメリカ愛」が本作でもベースになっていて、そしていつものようにそれは単純な「母国賛歌」ではない、本作でいえば「権力」や「地位」や限りなく悪に近い「正義」を丁寧に積み上げながら観るものに問いかけるものとなっています。「アメリカを愛する」というのはどういうことなのか、と。『アメリカン・スナイパー』(2014年)も印象的でした。

そこに前述の二人の相棒が絡むことで独特な哀感も醸し出されて相変わらず上手いですね。ハマー氏の「動」とワッツ嬢の「静」のコントラストも印象的です。まぁそこにマザーコンプレックスや女装癖や同性愛までぶちこんじゃうとやり過ぎな気もしますが。

どうなんでしょうね、日本なら田中角栄さんなんかを映画にするとこんな感じになるんでしょうか。そこにはやはり「日本愛」みたいなものもきちんと描かれるんでしょうか。

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