(2006年/日本)
「笑の大学」「ラヂオの時間」に続く三谷幸喜さん作品です。
いつものように、限定された時間の中でこれでもかというくらいに八方破れな展開があって、クライマックス間際でそのすべてが集約されていくという脚本でした。
なにはともあれキャスティングが豪華です。記者会見で「全員が主役です」と監督が言っていたように、登場人物それぞれのドラマが描かれながら、八方破れな展開もありながら、絡み合いつつ集約されるというのを136分に収めることができるというのが脚本の凄さなんでしょう。普通にやったら年末の8時間ドラマ状態になります。
「長回しへのこだわり」という監督の話もありましたが、そういう映画的手法というのも沢山映画を見ることでその面白みが分かってくるんでしょうね。小津監督の「東京物語」のローアングルからの固定カメラなんか、素人から見ても「なんか見たことない画面だな」と思いますもんね。
とはいえ、まだまだ「映画の面白さ」というのは分かってなくて、今は「種々雑多な要素を2時間くらいにまとめられるって凄いな」というくらいのもんです。むしろ、それだからこそ端折られてしまっている部分が気になったりします。3分クッキングの「はい、15分蒸したものがこちらです」みたいな部分ですね。
「スウィングガール」でいうと、5人にまで減ったバンドがスーパーの駐車場で演奏をしているのを見かけた途中抜けメンバーが、その足で楽器屋に走って、戻ってきてそのまま演奏に参加するシーン、とかですね。何時の間にそんなに演奏が上手くなったんだ!と突っ込みたくなるんですが、そこはこちらも年齢を重ねているので、「まあそれが映画的なのだ」と割り切ろうという気持ちも出てきました。「ここがおかしい」とか「現実的でない」というのを映画に求めること自体がおかしいのだ、と。
これは映画なのだしそんな映画的リアリティに埋没するために映画を見ているのです。それがいやならテレビのニュースを見ていれば良い。
でも正直なところ、そこまでして何故映画を作ろうとするのか分からないですし、何故映画を見るのかも分からないのです。折角今回映画を見出したのでそこのところがちょっとでも解明するといいな、と思っています。
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