人生の特等席

Cinema

(2012年/アメリカ)

原題の「Trouble with the Curve」が一体どういう曲折を経ればこういう邦題になるのでしょうか。これこそが最たる「Trouble with the Curve」と云えましょう。

というわけで、のっけから苦言でなんですが、主役は大御所ダーティハリーことクリント・イーストウッド!役柄はメジャーリーグの老スカウトマン。娘の有能かつ美人な弁護士、エイミー・アダムス嬢(『アメリカン・ハッスル』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』)とも、妻を失くしてからというものしっくりいかない。

スカウトマンとしては、コンピュータによるデータ分析で有能な選手をピックアップするやり手な若手からやり玉に挙げられ、すっかり老いぼれて球場に行っても目がかすんで選手がまともに見えない有様。

という四面楚歌な状況で、果たして彼に「人生の特等席」はあるのでしょうか・・・ということなのでしょうけれど、もう何もかもが暴投気味なんですね。

娘との確執の原因にしても何だかよく分からなくて「もったいつけてるけど、どう考えても単なる育児放棄じゃないの?」とか、娘とイイ仲になったジャスティン・ティンバーレイク君、エイミー嬢を「裏切り者!」と罵って去って行ったと思ったらラストにシレーっと現われて何事もなかったかのように元のサヤ・・・って君ら間違いなくまた同じようなことで喧嘩して別れるで!老婆心ながら絶対やめたほうがいいって。

ドラフト1位指名のパワーヒッターに対して「あいつはカーブが打てない。そんな奴をあんたらは1位指名するのかい?」というのも何だか説得力に欠けます。なので無理矢理「憎たらしい」キャラ設定にすることによって、イーストウッドサイドに観客を誘導せざるを得ないわけです。ハリー刑事、44マグナムが泣いてますぜ。

というわけで、最後まで苦言でなんですが、飲み屋で色々説教じみた話を聞かされた気がするけど結局何ひとつ残ってない、というような感じでした。まぁそんな飲み屋の椅子も所謂ひとつの「人生の特等席」・・・な訳ないですね。

コメント

  1. OJ より:

    これまた凄いギャップ邦題ですね!まぁいつものタイトル検討会議で「Trouble with the Curveじゃ、泣けるアメリカ映画っぽさが足りませんな」って事になったんでしょうが。
    クリント・イーストウッドの演じる、時代から取り残されつつも矜持を失わない老スカウトマンですか・・・、ザ・ラストスカウトマンなどはどうでしょうか?・・・失礼しました。

  2. C&P より:

    いや本当に「ザ・ラストスカウトマン」の方がすっきりしますよ。「なるほど、こんなスカウトマンはもう出てこないだろうな」という観方は出来ますが、どう考えても「人生の特等席」なんてどこにも見当たらなかったですから。映画を観ずに検討会議をしたとしか考えられません。・・・嗚呼!またここでも苦言が・・・失礼しました。