ラ・ラ・ランド

Cinema

(2016年/アメリカ)

言わずと知れた大ヒット作品。監督・脚本はあの『セッション』のデミアン・チャゼル氏。『セッション』がヒットしたので、ずっと温めていた本作を撮れる環境になったらしいです。

個人的にはいつも人を食ったようなライアン・ゴズリング君の顔が苦手なんですね。『ドライヴ』(2011年)や『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』(2012年)くらいしか観ていないですが、全く何を考えているのか想像できません。ジャッキーチェン『木人拳』の木人が何を考えているのか分からないのと同じレベルです。

そんなゴズリング(しかし凄い名前ですね)君が織り成す恋愛映画で、しかもミュージカル。全く食指が動きませんでした。

しかしながら、たまたま部屋のBGVとして流した映画がこれで、オープニングやファンタジックな色彩が印象的だったのでちゃんと観てみよう、と。

まず色彩ですが、原色の絵の具を画面いっぱいにばらまいたような綺麗さです。同じ原色系でも『アメリ』のような重厚さではなくてパステルっぽいポップな色。これはヤングな女性のハートを鷲摑み!どうでもいいですが「鷲摑み」って漢字にしてみると実にワイルドですね。

そしてエマ・ストーン嬢のキュートなこと!服や髪型も一分の隙なく可愛いんですね。これはヤングな女性の・・・(以下同文)。

オールドなおっさん目線では、エマ・ストーン嬢の顔芸に魅せられました。たとえばジャズピアニストのゴズリング君のポップな新バンドライブに客席のエマ嬢。

「へぇ、こんなバンドなんだ」
「お客さんも多くて人気だね」
「ゴズ君、格好良い!」(←そうは思わんが byおっさん)
「でもあなた、こんな音楽が好きだったっけ」
「ねぇ、なんだか無理してるんじゃないの?」

というような感情の流れを表情だけで語っちゃうんですね。まさに至芸の顔芸。

ストーリーはわざわざ「春」「夏」と季節ごとの章立てが象徴するような、ベタな起承転結に間違いないでしょう。

【起】「思いがけない二人の出会い」
【承】「正視に耐えぬラブモード」
【転】「そんな二人にもいつしか隙間風が」
【結】「それでも二人はラ・ラ・ランド!」

「転」までは想定どおりで、このまま「結」かと思いきや、そこはさすがのチャゼル監督。実に余韻あるエンディングさばき。観た後で誰かと感想を共有したくなるような、そんな「往年の映画」への愛情を感じさせる素敵な映画でした。

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