(2011年/アメリカ)
「なんだかしんどそう」というユルい理由で避け続けてきた作品を観るモードになっているようで、今回もそんな一作。タイトルがもう「なんだかしんどそう」の最たるな感じですもんね。原題の「Extremely Loud & Incredibly Close」を忠実に訳した邦題はインパクトがあって印象的です。
キャストはまるで気にしていなかったのですが、対人恐怖症の傾向を持つ11歳の主役トーマス・ホーン君のお父さん役はあのトム・ハンクス氏、そしてお母さんにはサンドラ・ブロック嬢。トーマス君の対人恐怖症はお母さんのせいだな。
そんなトーマス君が大好きなトム父さんを9.11で亡くしてしまいます。ますますサンドラ母さんには辛く当たり、やっぱりしんどい展開ですが、ふとしたことからトム父さんが残した謎を見つけ、それを解く冒険が心の支えとなっていきます。
何しろトーマス・ホーン君の演技が凄いです。11歳で父を亡くした子どもとしてどうしても「同情の目」で見がちな我々を、上岡龍太郎氏をそのまま11歳のアメリカン男子にしたような立て板に水のマシンガン講釈を武器に「ちょっと一発くらい殴った方がいいのでは?」と思わせる怪童ヒールぶりも堂に入っています。天才子役と云われながらも出演作が本作だけ、というのが勿体ないですね。
9.11という特別な背景はあるものの、大枠としては心の病気や肉親の死や反抗期を乗り越えんとする少年の物語ということで普遍的な、意地悪な言い方をすれば「ありがちな話」なわけですが、もっと俯瞰すればあの9.11ショックを乗り越えていくため、大人にとってもこういうストーリーが改めて必要だった、ということなのでしょう。そういうところもなんだかアメリカらしいなと思ったりします。日本だとドキュメンタリーとか24時間テレビ&マラソンになっちゃうところです。
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