イン・ザ・カット

Cinema

(2003年/アメリカ)

別に避けていたわけではないのですが、メグ・ライアン嬢出演の映画って観たことがありませんでした。『トップガン』(1986年)や『恋人たちの予感』(1989年)などヒット作もあるんですが、80年代のヒット作を何となく避けてきちゃってるんですね。

製作にはあのニコール・キッドマン嬢!なんでも1995年から温めていた企画で本当は自分が主演するはずだったそう。しかしこういうエロティック・サスペンスの主役を自らやろうという女優さんの心情が理解できないですね。のっけからもう昭和初期のロマンポルノ的アングラ感満載です。常時画面のどこかがピンボケしている、というよく分からない演出とか。

相手役の刑事マーク・ラファロ氏もいかにも胡散臭くて寺田農氏を彷彿とさせます。その相棒刑事にはケヴィン・ベーコン氏!こうしてみるとなかなか渋く豪華な布陣です。

当時「ロマンティック・コメディの女王」の異名をとるメグ・ライアン嬢の演技派女優へのターニングポイントとなるはずの本作ですが、鳴かず飛ばずだったらしいです。

一時期「演技派女優」へ転身といえば「ロマンポルノ」という構図がありましたが(ないですか?)そういうムードが漂うのも観ていて切ないですし、彼女の演ずる主人公の心情に寄り添うべきなのか(時々挿入される両親の出会いのモノクロシーンは何なんだろう)、猟奇的連続殺人の犯人を追うべきなのか、純粋に演技派女優の艶技を楽しむべきなのか・・・。

迷っているうちに犯人が明らかになります。どんでん返しなのかもしれませんが、そもそも登場人物が限られているので、もう簡単な引き算で出ちゃう答えでもあります。

これがもしニコール・キッドマン嬢だったら・・・いやいや、考えますまい。

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