7月4日に生まれて

Cinema

(1989年/アメリカ)

なんとなく避けてきた80年代ヒット作品ですが、観る作品も限られてきたので消去法的に鑑賞。ヒット作ということでタイトルは知っていたのですが、内容は全く知らず。

トム・クルーズ主演、オリバー・ストーン監督。ベトナム戦争に従軍した、アメリカ独立記念日生まれの青年の辿る半生、という内容。

オリバー・ストーン監督の名前を久しぶりに見ましたが、作品を観るのはこれが初めてです。あの『プラトーン』(1986年)で一躍有名になった監督で、これもベトナム戦争の映画にして、自身もベトナム帰還兵とのこと。

そんな監督の80年代的外連味溢れる演出とトム・クルーズ氏独特の存在感で145分。お腹いっぱいです。

それにしても『トップガン』(1986年)、『ハスラー2』(1986年)、『カクテル』(1988年)と超モテモテなトム様を期待して観た世の女子たちは愕然としたでしょうね。序盤は期待通りにしても、下半身不随で帰還してからの姿たるや、髪の毛すら薄くなって・・・でもやっぱり絶えず発せられるトム様オーラ。流石です。

第62回アカデミー監督賞と編集賞を受賞するなど評価も高い作品でありつつ、「陳腐な結末、わざとらしい盛り上げシーン」「非理性的、高圧的」という批判もあって、個人的には後者に一票なのですが、それでも真正面から戦争や政治に物言う映画を大金やモテモテ俳優や時間や労力を使って作る大人たちの心意気には脱帽です。

単純に正と悪で割り切れないが故に「これにて一件落着」とはならない構図の中で、声の大きいものに巻き込まれて得する人、すりつぶされていく人、人間の為すことの「愚かさ」をその時々に、その時々の芸風(80年代オリバー風)できちんとピンナップしておく、ということなのでしょう。

たとえ延々と繰り返される「愚かさ」~最近では新型コロナウイルスや東京オリンピックの対応に至るまで~への歯止めにはならないとしても。

コメント