キリング・フィールズ 失踪地帯

Cinema

(2011年/アメリカ)

これは「ジャケ借り」で、TSUTAYAのサスペンスコーナーでいつもちょっと気になっていたのです。クロエ・グレース・モレッツさんも出てますし。

モレッツ嬢が「キリング・フィールズ」という名の失踪地帯にさらわれて刑事が決死の覚悟で彼女を救出にいく、というラフな筋書きが頭にあったので、モレッツ嬢が出てくるたびに「あぁ、いつさらわれる?もう、さらわれる?」とドキドキしながら見ておりましたが、そのうち「一体いつになったらさらわれるのだ!」と。

前半の「何も始まらない」感が長過ぎて、いよいよ!というさらわれ方も刑事が車で電話している間にスーパーマーケットでしれっとさらわれたり、モレッツ嬢も失踪地帯で着衣の乱れもなく(別に変な期待をしていたわけではありません)発見されたり、闇夜まで気合いを入れて犯人を待ち構えていた刑事はあえなく犯人に撃たれて死亡(実は瀕死の状態で生きていました、というオチ付)、相棒の仇を打つべくライフルを持って犯人の潜伏(というほどでもない)する家(モレッツ嬢の家)に刑事が乗り込むと、すでにモレッツ嬢のろくでもない母親と兄貴と犯人の3人でお互いを撃ち、刺し合って自爆状態。結局ライフルは一発も撃たれることなく事件は解決(?)。

そして前述のとおり、実は生きていた刑事の家にモレッツ嬢は引き取られて(多分)幸せに暮らしたとさ。エンディングクレジットが流れ出すと同時に虚無に陥る。

次々と悲惨な状況で殺されていた少女たち、犯人よばわりされた入れ墨の白人と黒人(まぁ逃走したときに警官を殺してましたが)、燃やされた車に残っていた血痕、刑事と元嫁の刑事の軋轢、娼婦の母を持つモレッツ嬢の複雑な感情(刑事宅に呼ばれて家族で食事をしていたときの彼女の微妙な表情たるや・・・)、そういった数々の伏線がひとつも昇華されることなく終わってしまうこの無常観といったら・・・。

一体この映画のどこにカタルシスを求めればよいのか、結局「キリング・フィールズ」という名の失踪地帯にさらわれていったのはそういう観客の思いだった、ということなのかもしれません。

コメント