ストーン

Cinema

(2010年/アメリカ)

つい先日鑑賞の「レナードの朝」で精神病患者を演じていたロバート・デ・ニーロ氏と「真実の行方」「ファイト・クラブ」のエドワード・ノートン氏という豪華なキャスティング。さあどんな映画なのか、観る前から期待大です。

冒頭、若きデ・ニーロ氏夫妻はどうも夫の浮気が原因でしっくりいっていない様子。妻がとうとうヒステリーを起こすと、夫も負けずに小さな娘を2階の窓から落とすと脅す。なんとか思いとどまらせて妻が震えながら締めた窓に、羽音を立てていた蜂が挟まれる。

時間が現在に戻って、刑務所の仮釈放面接官として定年直前のデ・ニーロ氏とノートン氏演ずる服役中にして仮釈放を何としても手に入れたいストーン。頭髪を編み込みにして、キーキーと耳障りなしゃべり方で観る者を自然にイライラとさせてくれます。ノートン氏の上手さですね。

ストーンの妻がいわゆる男好きするタイプで、演ずるのは「ブルーラグーン」「フィフス・エレメント」「バイオ・ハザード」シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチ嬢。手段を選ばないストーンは妻をデ・ニーロ氏の元に向かわせます。

誘惑にあっさり落ちる夫デ・ニーロ氏を独特の距離感で見つめる妻役は、あの「ウィッカーマン」で医師役を演じたフランセス・コンロイ女史。決して心の内を明かさない静かな怖さがあります。こうしてみると女性陣も凄いですね。

やれやれストーンの思う壺か、と思ったら、まさかの展開でストーンが宗教に目覚めて悟りの境地に。

「仮釈放?別にどこにいたって同じだと思うんだ」

そんな悟りの境地に誘うときに耳にするのが蜂の羽音のような音なんですね。二組の夫婦と蜂の羽音。

もっとドラマティックにしようと思えばできそうですし、メッセージ性を持たせたりもできそうなんですが、そこはコンロイ女史的な独特の距離感のまま終わります。

興行的には製作費22,000千ドルに対して興行収入3,200千ドルという大コケぶり。WikiPediaを見てもあっさりとした情報しかないですし、「できれば、なかったことにしたいんですが」という雰囲気です。ロバート・デ・ニーロ氏とエドワード・ノートン氏ですぜ!

とはいえ「誰も評価してないですが、個人的には良い映画でした」とも言いにくいところがなんとも。これだけのキャストがそれぞれちゃんと持ち味を生かしてきちんと演技をしているのに全体としてはさほど面白くない、というのがこの映画の面白いところかも・・・だってロバート・デ・ニーロ氏と・・・・・・。

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