ゾディアック

Cinema

(2007年/アメリカ)

アメリカで1960年代後半に実際にあった連続殺人事件を題材にした映画。あの「セブン」「ファイト・クラブ」「ドラゴン・タトゥーの女」の監督、デヴィッド・フィンチャー作品。主役は相変わらずどっから見ても男前感ギンギンのロバート・ダウニー・Jr氏、「ドニー・ダーコ」「複製された男」のジェイク・ギレンホール氏。新聞記者と新聞社お抱えの風刺漫画家。刑事役のマーク・ラファロ氏は「シャッターアイランド」の刑事や「スポットライト 世紀のスクープ」の記者といった本作と似たような感じの役でしたね。

2時間43分という長丁場の作品ですが、始まってすぐにカップル殺人。「2週間後」「3週間後」みたいな感じでどんどん話が進みます。最初の内はそういう時間経過が大事な要素なのかと思って観てましたが、あまりに「1か月後」「2週間後」「1日後」と節操がないので気にせずに見る。ジェットコースターに乗りながら真横の景色を楽しめないのと同じです。

ざっと俯瞰すると序盤で連続殺人事件、中盤で「劇場型」に翻弄される新聞社と警察、そして世間、終盤にかけては事件を追う記者や漫画家、担当刑事にぐっとスポットが、という感じです。事件発生から50年経った現在でもまだ捜査中ということもあり、「事件、そして犯人逮捕」ということではなく、「事件、そしてそれにまつわる人間模様」ということですね。

なのでギンギンのロバート・ダウニー氏は薬物という蟻地獄に飲み込まれてフェードアウトしてしまうし、担当刑事のマーク氏も志半ばという感じで終わってしまう。

しかしながら、日本のニュースでもその時はこぞって取り上げておきながらあとは全く無関心、「そういえばあの事件ってどうなったんだろう」ということがありますが、そういう事件の顛末あるいは現在を真正面から取り上げるとこういう映画になる、ということなのかな、と。

似たような「スポットライト 世紀のスクープ」における「報道の勝利」的カタルシスはありませんが(逆にモヤモヤして寝付きが悪かった)、いつもの監督らしい重厚な画面は控えめにしつつ、題材に重きをおいた作品なのかと。

余談ですが、たまたまネットで見つけた本作のCGネタ動画も凄かったです。「えぇ!あれもCG?」という。

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