(2013年/韓国)
韓国映画というと「オールド・ボーイ」(2003年)、「母なる証明」(2009年)、「ハウスメイド」(2010年)くらいでほとんど観た事がないのですが、今回はいわゆるジャケ買い鑑賞。いくらテロといってもジャケ写のようにビルが傾くなんてことはないでしょう。
というくらいのノリだったのですが、最初から畳みかけるような展開で息もつかせません。訳あって映画は何日かに分けて観ているのですが、久し振りに「早く続きが観たい」と思わされる作品でした。
落ち目のテレビキャスター役、ハ・ジョンウさん演ずる、出来るけど嫌なエリート振りが巧くて、自然に「ああ嫌な奴だな」と思わせてくれます。しかしながら他にどんどん「もっと嫌な奴」が出てくるので相対的にハ・ジョンウ氏に情が移ってしまう・・・上手いですね。
主役の傲慢さ、ズル賢さ、迷い、駆け引きなど様々な心理を多彩なカメラワークで追います。物語が進むにつれてカメラが手持ちになって揺れる画面が崩壊していく主役を象徴するようで上手いと思いつつ、あんまりにも画面がグラグラするので、「すみません。揺れる主人公の演技を、揺れない画面でじっくり見たいんですけれど」と思わなくもない。
監督のキム・ビョンウさんは本作が初ということですが(第34回青龍映画賞の新人監督賞受賞)、スピード感に溢れ、安易な予定調和に堕しない脚本も含めて面白かったです。そういう意味では本作も含めて、これまで観てきた韓国映画も予定調和なラストってなかったですね。こちらの想像を超えて「うわー、そこまで行っちゃうんだ」という。ジャケ写通りにビルも傾いちゃいますし、それどころか・・・。観終わるとちょっと疲れるくらいなパワフルさ、まさにライヴ感覚。
コメント
嫌な奴がどんどん出てきた挙句ビルが傾くとは!(◎_◎;)、韓国の映画って見た事無いんですが面白いみたいですねw
喰わず嫌いなので韓国映画は前評判が良いものだけを恐る恐る観ているような感じなのですが、観終わってもずっと残るような作品ばかりです。だからといって次から次に観たいかというとそうでもないんですね。和食の舌で本場の韓国料理が毎日食べられないのと同じようなものでしょうか。