(2016年/イギリス)
WikiPediaでは「アクション・コメディ映画」と紹介されていますが、そのいずれにも「?」が付く作品です。
監督のベン・ウィートリー氏は初見ですが、製作総指揮はあのマーティン・スコセッシ!確かにぐっと沈み込むような重厚な映像はスコセッシ監督作品っぽいかもしれません。
映画評価サイトでは大方「面白くない」という意見で、前述のとおり「アクション・コメディ」いずれも「?」なのですが、想像するに、こういう経緯ではなかったかと。
とある夜、駅前の赤ちょうちんの暖簾をくぐるスコセッシ監督。
「あれ?スコセッシ先輩じゃないですか?」
「え?失礼、前に会ったことありましたっけ?」
「ちょっと前ここでヒッチコックの『裏窓』の話で盛り上がったの覚えてません?」
「ああ!あの時の・・・ヒレ酒飲んだっけ?」
「そうそう!先輩もあの時結構ベロベロでしたもんね。改めまして、ベンです。詰めますからどうぞどうぞ」
(中略)
「FBIから聞いた話なんすけど、銃で撃たれても映画みたいにあんな簡単に人は死なんらしいですわ」
「ああ、わしも聞いたことあるけど、いちいちそれに時間とってたら映画7時間くらいになってまうやろ?」
「(笑)ほんまに。でも逆にめちゃくちゃ撃ち合いしてるのにちっとも死なへん映画っておもろい思いません?『そりゃすぐには死なんやろけど、大概にせえよ!』みたいな」
「おもろいかもしれんな。映画が変なところでリアルを求めて、通り越してもうて結局映画に戻ってる、みたいなやつな。・・・すみません!ハイボールお替り!濃い目で」
「あ、こっちも同じやつ!」
「映画の話やけど・・・わしの名前貸そか?その手の映画って、無名俳優使ったって結局誰も見んやろ。『なんでこの映画にこの豪華な面子?』ちゅうのがないとあかん思うで」
「ほんまですのん!?今日ここ来て良かったですわ。もう一軒とどっちにしようか迷うてたんですよ。今日はおごらして下さい。大将、ハイボールちょっと止めてぇ!ヒレ酒置いてます?」
「ベンちゃん、それはあかんって・・・」
(後略)
そういう映画でした。個人的には好きです。
コメント
ちょっとCPさんの寸劇めちゃ面白いじゃないですかw 爆笑してしまいましたよー!
スコセッシ先輩、以前飲んだのにうろ覚えのベンと再び赤提灯で意気投合。このシーンの描写がまたリアル。「FBIから聞いた話なんすけど」このセリフだけでこの後続くであろう話のB級的展開の予感にやけてしまいます。そしてその期待を裏切らない下らなさと、その場いれば大いに盛り上がるであろう酒呑みの琴線をくすぐる内容とセンス。
そして「俺の名前貸そうか?」という至極俗物的な(自分のメリットも勘案した)提案・・・!
そんな寸劇をCPさんに創作させてしまう「フリー・ファイヤー」かなりの名作とみました。いやむしろCPさんの創作世界が映画化されないものかと切に願ってしまいます。
クエンティン・タランティーノ監督作品を彷彿とさせる、真っ向からB級を狙ったような作品なのですが、なぜそこに重鎮スコセッシ監督の名前があるのかな・・・というのを考えていくと件の酒場に辿り着いたという次第です。
以前も話題に出ましたが「これが世に出ることとなった会議を見てみたい」系ですね。「企画は会議室にあるんじゃない!暖簾の向こう側で興っているんだ!!」と誰かも叫んでましたよね。あ、これも映画で使えるセリフかも・・・!?