(1948年/アメリカ)
ヒッチコック作品。のっけからロープによる殺人シーンで幕を開けます。チェストに死体を隠して、その上にオードブルを載せてパーティーをするという趣味の悪いストーリー。観客はそこに死体があることを知っているので、いつそれがばれるかと肝を冷やすタイプのサスペンスです。
殺人現場&パーティー会場がこの映画の全てで、演劇の舞台をそのまま映画に撮りたかったようです。というわけで最長10分間のワンカットワンシーンを繋ぎ合わせるということになっております。繋ぎ目は誰かの背中をズームアップしてスクリーンを真っ黒にしておいて次の10分間が始まるという具合で、ワンカット10分までしか撮れなかった当時ならではの苦肉の策です。
ヒッチコック作品のDVDには必ずボーナストラックがあって、当時のスタッフやキャスト、監督の娘が作品解説をしてくれます。こちらも面白いんですが、脚本担当の人が「最初に殺人シーンを持ってきたのは監督の失敗だと思う」と明快に言っていて面白かったです。
確かにあれがあることで観客のドキドキは「死体がいつ見つかるのか」という一点に絞られて深みがイマイチないのです。毎度おなじみジェームス・スチュワート氏がパカッとチェストを開けるとあら不思議!そこにあるはずに死体が・・・という展開ならまた全然違ったサスペンスになったんでしょうけどね。
ヒッチコック映画に欠かせないブロンド美女。今回はジョアン・チャンドラーさん。ワインレッドのドレスが似合う、どこかヘップバーンを思わせるスレンダーな女優さんでした。
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