女は二度決断する

Cinema

(2017年/ドイツ)

のっけからこう言うのもなんですが、例によって邦題がハチャメチャです。原題は『Aus dem Nichts』で「無の果てより」というような意味らしく、確かにフワッとした感じですが、それにしても「二度決断」はナンセンスです。同じ物事に「決断」を2回するなら、少なくとも最初のは「決断」とは言いません。「本日2回目の一生のお願い!!」と言ってるようなもんです。もう何とかして欲しいですね。

夫と幼い息子を爆弾テロで奪われた女性の物語、ということで相当ヘヴィーな内容なのですが、それでもじっと我慢して観ていると、観終わった後に残る何とも言えない諦観のようなものが印象的です。まさに原題の「無の果てより」というイメージですね。

主演はダイアン・クルーガーさん。もちろん初見かと思いきや「イングロリアス・バスターズ」や「アンノウン」のタクシーの運転手役でお目にかかっておりました。そうだったんだ。それまではファッションモデルあがりの女優扱いだったようなのですが、本作の演技でカンヌ祭女優賞を取っておられます。

最近こういうタイプの女優さんの映画が続いているような気がしますね。

「ELLE」「コンクリート」のイザベル・ユペール嬢とか・・・

「女神の見えざる手」のジェシカ・チャステイン嬢とか・・・

そして本作のダイアン・クルーガー嬢。

いずれも女性にしか出すことのできない独特の雰囲気があって、「薔薇」と「棘」を併せ持つ凄味と申しましょうか。

コメント

  1. OJ より:

    原題「無の果てより」、ドイツ映画、爆弾テロ、鑑賞後の諦観・・・これは邦題をつけるのは大変だったでしょうねw
    やはり女優さんが賞を獲得する程の名演をされているので、「女」をクローズアップ、そして何か大きな決断をするので「決断」、それを二回するので「二度」、「二度決断する女」は確信犯的な感じがするので、「女は二度決断する」として心の動きを表現・・・という感じで決定。
    いつもの会議室で「無の果てよりって、何が無の果てから来たの?」「無からくるものは無じゃないっすか?」・・・から始まって9時間後くらいでしょうか。
    でも実際に邦題をつけるのはかなり大変な作業なんでしょうね。「ハチャメチャ邦題命名裏話」という本があれば是非読んでみたいです。

  2. C&P より:

    そもそも日本での放映権を獲得した(というのでしょうか)映画のタイトルを勝手に付けていい、というシステムがよく分かりませんよね。
    タイトルも作品の重要な一要素だと思うのですが、「『無の果てより』?何か辛気臭えし誰も観ねえよな、これじゃ。何かもっとぱっと派手なのないの?」
    マーケティングといえば格好良いですが、OJさんの仰るように9時間費やして決まったのならまだしも、恐らくろくに作品も観ないで5分くらいで決めたようなのもありますからね。先日の『戦慄の誘惑』もかなり怪しい感じですが。
    とはいえ、ときどき「お見事!」という邦題があったりして、たとえば『明日に向かって撃て!』(原題は主人公の名前で『Butch Cassidy and the Sundance Kid』)なんて、あのラストシーンと相俟って惚れ惚れします。
    まさに玉石混淆、仰る通り暴露本読んでみたいですね。むしろ映画より面白かったりして。