500ページの夢の束

Cinema

(2018年/アメリカ)

たまたまですが「エフィー・グレイ」に続いて本作もダコタ・ファニング嬢主演。「エフィー・グレイ」も旦那に放置される妻という難役でしたが、今回は自閉症。これまた難しい役どころですね。

ダコタ嬢を観るたびに安達祐実さんを彷彿とさせると言ってしまいますが、「家なき子」なんて役柄的にも共通しているような気もします。可愛い顔立ちなのにニコリともしない能面のような無表情さとか。誰にでも出来ることじゃないと思うのですが。

自閉症の施設で暮らす「スタートレック」マニアのダコタ嬢。「スタートレック」の脚本コンテストがあると知るも期限直前、500ページの原稿を抱えて施設を抜け出し、ロスへ・・・というロードムービー。

自閉症というセンシティブな病気がベースということもあって、やりようによってはどこまでも重く扱えるところですが、ジャケットを見ても分かるように終始ライトなタッチで描かれます。

音楽も絶妙なポップさですし、自閉症のロードムービーという設定が呼び寄せる試練もそこまでヘヴィーじゃなくて、それをポップにライトに乗り越えていくダコタ嬢という感じですね。でもそれなりにテンパっているのが伝わってくるところがダコタ嬢の演技の巧さとベン・リューイン監督の采配によるものでしょう。

「敢えて深追いしない」という演出の上品さは、NHKの上質なドキュメント「地球タクシー」や「ドキュメント72時間」を彷彿とさせます。これが「最前線!密着警察24時」とかになると、とても見てられないんですね。

繰り返しになりますが、重そげな題材を丁寧にライトに扱うことで上質な余韻を残す良い映画でした。

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