(2017年/韓国)
最近は韓国映画を観る機会が増えましたが、このところはソン・ガンホさん繋がりで本作鑑賞。
デモ隊に対する軍隊の武力制圧という1980年の光州事件を元にした作品ですが、冒頭「この物語は事実を基に再構成されています」とあるように「韓国のタクシードライバーが光州事件を取材しに来た海外記者を乗せて北京と現場を往復した」ことくらいが「事実」で、あとは「映画的に再構築」されたと思われます。
父子家庭で不憫な11歳の娘さんのエピソード(実際は息子)や学生デモ隊メンバーとの交流、果ては光州タクシーチームによるカーチェイスに至るや「ちょっと映画的に過ぎないか」と。
それでもやっぱり真面目な顔でコミカルだったりシリアスだったりを演じ切っちゃうソン・ガンホさんからは目が離せませんし、ドイツ人記者役のトーマス・クレッチマン氏の余所者風情漂う存在感も映画の勘所となっています。
それよりも何よりも、自国の黒歴史ともいうべき事件を描いた本作が1200万人を動員(韓国で10番目の多さ)したり、実際の記者の奥さんが韓国を訪れた際に本作を文在寅大統領(!)と鑑賞する機会が設けられたりというその国民性に感服しきりです。日本ではちょっと考えられないですし、逆に日本のそういう作品ともどこかできちんと向き合うべきなのかも、と。
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