(2018年/オーストラリア・インド・アメリカ)
2008年に起きたインドのムンバイ同時多発テロを題材にした本作。短編映画を撮っていたアンソニー・マラス監督の初長編映画ということですが、徹頭徹尾無差別銃殺のオンパレードにもかかわらず、最後まで目を離すことができない秀逸な映画作りです。
それは、美人セレブや憎まれ役の元軍人、今にも『セロリ』を歌い出しそうな山崎まさよしさん似のウェイター、絶えず難しい判断を迫られる料理長など「映画的キャラクター」を適材適所配置して、上手くストーリーを転がしていく妙技によるもの。
そんなわけで「再びその悲惨さを目にすることはエンターテインメントとは言い難く、悲劇的な光景を利益のために見世物にしている」(Wikipedia)という批評もあるわけですが、むしろ逆で「エンターテインメントを緩衝材にして、再びその悲惨さを目にすること」で浮かび上がってくるテーマがあるのではないか、と。
それは「悲劇というのは日常いつでも起こりうる」ということであったり、「集団の統率と個人の意見が相反するときの調整の難しさ」であったり・・・なにしろ観ながら「もし自分だったらどうするだろう」と思わずにはいられません。これがエイターテインメント大作『ジェラシック・パーク』なら、そんなこと考えません。観たことないけど。
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