(2018年/ドイツ)
ドイツ映画は珍しいですが、しかも前半はホロコーストが(ある画家のちょっとエキセントリックな親戚のお姉さんのエピソード、というオブラートがかけられているにせよ)真正面から描かれていてしんどいですが、ここは我慢してちゃんと観ないと、ですね。
話が前後しますが、「ある画家」というのは存命の著名な(存じ上げなかったですが)芸術家ゲルハルト・リヒター氏がモデルで、映画化の条件は「何が事実か事実でないかは互いに絶対に明かさないこと」(Wikipediaより)ということで多分に脚色が入っているわけです。
が、映画の予告編を観たリヒター氏は「スリラーとしての脚色が過剰」と激怒したとのこと(同上)。先般の『博士と彼女のセオリー』のスティーヴン・ホーキング博士といい(博士は試写で涙したそうですが)、存命の天才著名人の映画化というのは色々難しそうですね。
観たすぐあとは、「さすがにドイツ的な理屈っぽい作りの映画だな」という印象でしたが、こうしてしばらく経って思い返すと、あたかも一本の細い線が途切れそうでいてずっと繋がり続けているような繊細さもあって良い映画だったのかもな、と。
それをあっけらかんと「数奇な運命」などと言ってしまうのもなんだかなぁ、という気はしますが。そりゃリヒターさんも怒るわけです。しらんけど。
▼後日譚(2022/06/26)
存じ上げなかったゲルハルト・リヒター氏の個展が現在日本で開かれているそうです(東京・名古屋にて10/2まで)。
https://richter.exhibit.jp/
これまた「数奇な運命」?
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