(2006年/アメリカ)
1973年のイギリス映画のリメイク版ですが、原作は未観賞。アメリカ版の主役はモアイ像を彷彿とさせるニコラス・ケイジ氏。製作にも名を連ねる力の入れ様です。
白バイでパトロールをするニコラス氏。走行中の車から放り出されたぬいぐるみを届けるために停めた母娘の車にあろうことかトレーラーが衝突し炎上。燃え盛る車内の女の子を助けようとリアガラスを割ったところで車が爆破し、気を失うニコラス氏。しかし、事後車中に遺体は発見されず・・・というサスペンスフルな出だしで掴みはOK!
事故が原因の幻覚に悩まされつつも刑事に昇格したニコラス氏の元に結婚直前に姿を消した婚約者からSOSの手紙が。「娘がいなくなった」と。
というわけで一人、元婚約者のいる孤島に向かうわけですが、島の住人がどうにも怪しげな人ばっか。いなくなった女の子が自分の娘だと知ったニコラス氏の捜索はいよいよ力が入ってくるわけですが・・・。
ニコラス・ケイジ氏といえばアカデミー主演男優賞受賞俳優、「マッチスティック・メン」ではシック症の詐欺師や「キック・アス」のクロエ・グレース・モレッツ嬢のお父さん役・・・もう枚挙にいとまのないほど出演作を持つベテランさんです。演技も上手いんですよね。どれもニコラス節全開ながら有無を言わせず寄り切っちゃう妙技と申しましょうか。
本作でも女性をグーでぶん殴ったりしてもうハチャメチャなんですが、なんとなく「まぁいいっか、刑事でケイジなんだもの」というあたりで済ませちゃう何かがあります。
そしてストーリーは驚愕のラストを迎えるわけですが、冷静に考えると(これがもしリアルな話なら)もっとショートカットで済んじゃうところなのです。恐らく15分くらいで。しかしそこは映画ですから、サスペンスフルに引っ張りつつ、ニコラス氏のモアイ顔を拝みつつ、という映画らしい映画として楽しめました。そりゃ細かい伏線ぽいところがまるで未回収だったりする、そういう「大味」ぶりも含めて。
と思ったら世の中は実に世知辛く、本作は第27回ゴールデンラズベリー賞総なめ。いずれもノミネートとはいえ、「最低作品賞」「最低男優賞」「最低スクリーンカップル賞」(ニコラス氏とクマのスーツ?)「最低リメイク及び盗作賞」「最低脚本賞」・・・まあ、そういうところも含めて憎めないと申しましょうか・・・。
コメント
ウィッカーマンもネットで検索っと、・・・「ウィッカーマン(wicker man)とは、古代ガリアで信仰されていたドルイド教における供犠・人身御供の一種で、巨大な人型の檻の中に犠牲に捧げる家畜や人間を閉じ込めたまま焼き殺す祭儀の英語名称である。」
怖いww!なんですかこの禍々しい儀式は。アメリカ西海岸の陽気なウィッカーマン一家じゃないんですね。
ニコラス・ケイジの映画は私も何作か見たことがありますが、マッチョだったり弱っちかったり作品によって役作りが凄いという印象です。さぞ熱演された事でしょうが評判は良くなかったんですね。
しかしゴールデンラズベリー「最低リメイク及び盗作賞」、リメイクはいいですが「最低の盗作」ってひどいですよね。盗作でも出来が良ければオマージュとして許されるのでしょうか。
個人的な好みの問題だと思いますが、真に最低な映画ってぐるっと廻ってなんだか愛おしく感じられたりするんですね。「まぁそう言いなさんな。これでも良いところがあるんだから。きっと。どっかに」という風に。
ニコラス・ケイジ氏もちょっと脇が甘いと言いますか、的にされやすいタイプと言いますか・・・うーん憎めないですね。
「出来の良い盗作」=「オマージュ」というのは世の中にまかり通ってますよね。「え?あの作品のまんまって?そりゃオマージュだからさ、オ・マ・ア・ジュ!」うーん許せないですね。