朝6時に起きて、カバー曲『ラジオスターの悲劇』のギター入れをして、「本家を聴いてみるか」という感じでYouTubeで試聴して、ついでに関連動画にあった『Boys Town Gang~Can’t Take My Eyes Off You 』を聴く。やっぱり好きだなぁ、そういえば椎名林檎もこの曲をカバーしてたっけなぁ、という訳で林檎版「君の瞳に恋してる」を聴く。これはあんまりでしたが・・・。その動画が林檎曲集だったので、最後まで見てたらラストの曲が東京事変の新曲『閃光少女』でした。
前置きが長くなりましたが、そのときのサムネイルが同曲のPVのものらしいので、「ここに映ってるのは林檎かな?」というくらいのノリで、ちゃんとしたPVを見たわけです。
1回見て、同曲への林檎・亀田両氏のコメント動画があったので、これも見る。亀田氏の人柄がよく分かる奇特なコメントです。「寒い日にダウンジャケットの少女のフードの奥のあどけない顔を見て『この娘はこれからどんな風に大人になっていくのだろう』という気持ちを曲にした」(この曲は珍しく亀田氏作曲。詩は林檎氏)ということです。
「少女が大人になるまでの時々垣間見せる一種独特のきらめき」というのは(言葉にすると馬鹿みたいですが)ずっと以前から関心があって、そういうのも含めて何度もPVを見ているとグッときました。
3分足らずという短いこの曲に貴方ならどんな映像を付けますか?
無粋を百も承知で、私なりこの映像を解説してみます。体育館でとよた真帆みたいな女性と宮崎あおいみたいな女子高生が思いつめた表情をしながら向かい合い歩み寄ります。サビとともに指先にまで神経の行き届いたダンスがあり、2コーラス目で二人はくるりと踵を返し走り出します。
場面が都会のビルの屋上になり、小雨の中、女性は屋上の縁に腰掛けていて、ビニール傘の少女がそこに歩いてきます。
また歌詞に応じて、女性が大きく息をしている映像が挿入されたり、女性が少女の横から急に立ち上がってクルリとターンをしたりして少女を驚かせます。
一度として女性と少女は会話したりはしません。思うに会話したくとも、この二人は会話できない存在なのではなかろうかと。この女子高生の未来が、この女性なのだとすれば断片的に挟み込まれる色々な映像が見えてきます。
ビルの屋上で空を見上げる少女をまぶしそうに眺める女性の横顔。逆方向に走っていたはずの少女がいつしか女性と同じ方向に走って重なります。曲のラスト「これが最後だって 光っていたい」の歌詞に合わせるように走る女性がジャンプをした瞬間に映像から女性が消えてしまいます。逆方向に走っていた少女が立ち止まって振り返って目を伏せます。
エンディングの中で、体育館で向き合う二人から女性だけが消え、ビルの屋上には少女がひとりで空を見上げています。ラストは女性の走る姿がCGとなって発光してスパークしてしまいます。
たとえ未来に失われてしまうのだとしても、少女が女性の方向へ向かって一歩を踏み出すところで曲が終わります。
コメントで亀田氏が「作り手冥利に尽きる」と言ってましたが、キャッチーなメロディと選び抜かれた言葉で紡がれた歌詞、そして張り詰めた二人の映像が相俟って、おっさんの目にも涙を誘います。まぁそうは言っても、見ていただいて感じていただくしかないんですけど。
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