ギャング・オブ・ニューヨーク

Cinema

(2002年/アメリカ)

マーティン・スコセッシ監督作品。主役はレオナルド・ディカプリオ、といえば『ディパーテッド』『シャッター アイランド』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(未観)の重量級コンビです。

どうでも良い話ですが、どうしてもスコセッシ監督とクリストファー・ノーラン監督がごっちゃになって、「あれ?『インセプション』の監督ってどっちだったっけ?」となります。

ちなみに先達ての『ダーク・シャドウ』で、「クロエ・グレース・モレッツ嬢が『ヒューゴの不思議な発明』でもチョイ役で使われている」と書きましたが、『ヒューゴ~』はティム・バートン監督ではなく、スコセッシ監督作品でした。失礼致しました(すでに修正済です)。

というわけで本作ですが、約150年前の荒廃したニューヨークの一角で繰り広げられる冒頭の大乱闘シーンが圧巻です。そこで殺されてしまうリーダーの牧師であり、ディカプリオ少年の父親が「無敵親父」リーアム・ニーソンとは気付きませんでした。

その無敵親父を殺したのがダニエル・デイ=ルイス氏。結構凄い俳優さんらしくて、本作でアカデミー主演男優賞にノミネートされたのが、ディカプリオではなくてこの人だったというくらいです。劇中も「次の瞬間何をしだすか分からない」という凄味が常に立ち上っていました。ディカプリオ氏も相変わらず常時眉間に皺を刻んでおられましたが、やはりそこはルイス氏の妖気には勝てないわけです。

そんな二人に愛されるヒロインは、これも一筋縄ではいかないキャメロン・ディアス嬢。そりゃ相手がこの二人ですから、単なる「美人」では説得力がありません。そこは蛇のような雰囲気をまとうディアス嬢、ナイスキャスティングです。

肝心の内容ですが、宗教・貧富・人種・国籍など様々な問題が折り込まれた重厚な作品で、小説で言えば「カラマーゾフの兄弟」のようなヘヴィ―級な作品といえましょう。ぱっと日本人が観たって理解できないところだらけですが、そこは赤川次郎あり、トルストイありという小説同様、映画だって色々な重さがあってしかるべきです。

ラストは150年前のニューヨークの風景に近代の映像が重なっていって、世界貿易センタービルが映って終わるのですが、奇しくも9.11の影響で映画公開が一年遅れたということです。

150年経った今も、映画の中で再三描かれた血で血を洗う争い事は、現実として何ら変わることなく続いているのだ、ということかもしれません。

コメント

  1. OJ より:

    「ギャング・オブ・ニューヨーク」、さしずめ「東京のヤクザ」感覚的には「江戸の任侠」かもしれませんね。いつの時代もいるアウトロー達、実際に遭遇すると迷惑千万ですが、フィクションでは多く取り扱われる題材ですね。戦争も格闘もスポーツですら「戦いの構図」というものに惹かれるのは人の本能なのでしょうか・・・、などと偉そうに家の隣の焼き鳥屋でいも焼酎をチビチビやりながら思いました(笑)
    「インセプション」は観ました。相手の潜在意識にアイディアを夢として植え付ける、凄まじい頭脳戦だった気がします。ストーリーが複雑すぎて思い出せませんw

  2. C&P より:

    任侠映画を観終わって出てくるおっさんは100%肩で風を切りながら帰っていく、という話がありますが、個人的にディカプリオの映画を観たあとは無意識に眉間に皺が寄ってしまいます。あの人がやるからチャーミングなのであって、当方などは単なる視力の悪い人に見えるだけですが。
    それにしてもご自宅の隣が焼き鳥屋とは、もう窓からの匂いだけで何杯でもいけそうな好環境ですね。「『インセプション』のラストのコマは回り続けるのか」をサカナに焼き鳥と焼酎・・・オトナの夜です。