リグレッション

Cinema

(2015年/米・カナダ・スペイン)

エマ・ワトソンとイーサン・ホーク主演というだけの情報で鑑賞。二人の写るジャケットからはホラーサスペンスっぽい雰囲気が。

悪魔崇拝者の儀式のために父親から虐待を受ける娘、エマ・ワトソン嬢。悪魔崇拝者であるエマの父親や同僚(!)を追い詰めていく刑事、イーサン・ホーク氏。さすがにどちらも上手いです。

実話にインスパイアされて作られた映画というだけあって、「きっとこうだったであろう」というイメージをきちんと映画的に観せてくれます。

でも別にエマ・ワトソン嬢でなくても良かったのでは、と思わなくもない。イーサン・ホーク氏も多くの作品に出ているわりには、当方はあまり観たことがなくて(『ガタカ』(1997年)くらい)、どことなく西村和彦氏と柳沢慎吾氏を足して2で割ったようなマスク、パトカーに乗ろうものなら頭の横で両の手をクルクル回しながら「アバヨ!」と言い出しそうでヒヤヒヤさせられました。

当然の如く悪魔崇拝チームの魔の手が慎吾氏にも忍び寄り、無言電話や悪夢に悩まされます。うーむ、「イイ夢見ろよ!」と言ってあげたい。

でも話が思いもよらない方向に進むに至ってやっと「なるほどこれはエマ・ワトソン嬢でないと」と腑に落ちました。あの『サークル』で魅せてくれた「何か困ったことがあったらいつでもおじさんに言ってよね」系ヒロインならでは。参りました。

調べてみると、本作は評論家から酷評らしく「凡庸で話が複雑なだけのサイコスリラー映画以上のものにはならなかった」ということなのですが、いやいやどうして、逆に実話はもっとぐじゃぐじゃでそれこそ複雑に違いないところを、そのエッセンスを取り出して再構築してきちんとした俳優のきちんとした演技で分かりやすく、しかもどんでん返しな映画としても楽しめるものに仕立てる監督の力量たるや。

監督・脚本はアレハンドロ・アメナーバル氏。あの『アザーズ』のどんでん返しで度胆を抜いてくれた方とくれば、なるほど納得です。いやいやどうして、面白い映画でした。

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