死刑台のエレベーター

Cinema

(1958年/フランス)

「いつかは見ないと名作」シリーズ。のっけから電話ごしに「ジュテーム」と言い合う美男美女。う~む、フレンチテイスト全開です。甘いストリングスが似合うようなシーンですが、音楽はなんとあのマイルス・デイビス。なんでまた!

あるシーンで映像とマイルス・デイビスの演奏のブレイクがぴったりだったのが印象的だったのですが、今WikiPediaで調べてみると「映画のラッシュ・フィルムを見ながら即興演奏で録音したというのが伝説になっている」のだそうです。映像との即興演奏とは今から考えてもアグレッシブです。

タイトルからしてよくある「エレベーター閉じ込めクライムサスペンス」かと思っていたのですが、そうではなくて主人公がエレベーターに閉じ込められている、いわば「空白の時間」に別の物語が進行して本筋と絡んでいくというなかなか凝った展開でした。ところどころ「うーん、なんでそうなるんだろう?」というところは無きにしも非ずなのですが、そこは当時25歳というルイ・マル監督のデビュー作ということで。

でも雨の街を主人公を求めてさまようカララの美しさやエレベーターやハイウェイのシーンの撮り方、取調室の暗闇の使い方など素人が見ても凄いなと思わされました。名作たる所以でしょう。

でも一番凄いのは見終わって、翌朝「で、どんな映画だったっけ?」と思ってしまったという、まるでフレンチチョコのような口溶けの良さでしょう。甘さだけがかすかに残っているような。

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