16ブロック

Cinema

(2006年/アメリカ)

ブルース・ウィリス氏主演のアクション映画というのは、どれも「ダイ・ハード」シリーズのスピンオフみたいで、それはもうサスペンス劇場における船越英一郎氏の存在と双璧と言っても過言ではないでしょう。

というわけで本作も「エリート路線からはドロップアウト気味で頼りなさ気に見えつつも実は熱さを胸に秘めた男」であるヨレヨレ刑事が片平なぎさ嬢と・・・もとい、本業がラッパーのモス・デス君(どおりでセリフがマシンガントークだ)とニューヨークのダウンタウンの16ブロック先を目指すという内容です。

本作の面白いのはオープニングが、ラストから描かれるところです。ジャックした(と思われる)バスの中で瀕死のブルース・ウィリス、というシーンから始まります。観客はダウンタウンを彷徨う二人を見ながら「でも結局はああなるのよね」と思うわけです。

余談ですが、オープニングでラストというと浮かぶのが「メメント」、これは構成が特殊すぎるので、他にはスコセッシ監督の「カジノ」でしょうか。ピンクのスーツという奇天烈なロバート・デ・ニーロが乗ったキャデラックが・・・衝撃的でしたね。

閑話休題。悪役は一度見たら忘れられない容貌のデヴィッド・モース氏。童顔なのに不気味さがあって、なんだかバランスが悪いんですね(失礼!)。

まぁあれだけ人が溢れたニューヨークのダウンタウンでよくもしつこく追跡できるもんだなぁと感心しますが、画面が暗いうえに手持ちカメラ多用のせいもあって何が起こっているのかよく分からないシーンが多かった気がします。

観賞後の感想が「『ダイハード』と大体同じ」という感じはやはり、船越氏のサスペンス劇場と優劣付け難いところですね。

コメント

  1. OJ より:

    昔会社にブルース・ウィリスに似た頑固なオヤジさんがいたのですが、何かお願い事をする時に「さすがブルース・ウィリス、やるときゃやりますね〜」とおだてると、大抵の事はしてくれました。あの様な面構えの人はタフで優しい人が多い気がします。
    主人公が瀕死のラストシーンで始まる映画ってありますよね。え、何?って感じで観る人の心を掴み、その後の展開に注目させる手法なんでしょう。でもハッピーエンドのラストシーンで始めて「結局主人公勝つのね」みたいな安心感を抱きながらゆっくりと楽しむ映画というのもまた新機軸で面白そうです。

  2. C&P より:

    「さすがブルース・ウィリス」を賛ととるか、否ととるかはどちらに転んでもおかしくない機微なラインですが、前者で良かったです。一度引き受けたからには「仕方ねえなぁ」風情で全力を尽くしてくれそうですもんね。さすがブルース・ウィリス!
    勧善懲悪モノに多い、あまりに明快な起承転結(「はびこる悪」→「善と悪の接近」→「すわ窮地に陥る善」→「土俵際いっぱいでうっちゃる善」)に時々吐き気を催すのですが、勝利の美酒に酔う主人公の描写から始まっちゃうとこちらも吐くタイミングを逸しちゃいそうです。新機軸!