ゲット・アウト

Cinema

(2017年/アメリカ)

何かにつけてこの恐ろしいジャケ写が目につきながら、鑑賞を伸ばし伸ばしにしていた作品。ジャケ写の人はひょっとしてサミュエル・L・ジャクソンさんかと思っていましたが、もっと若くてイケメン(失礼!)なダニエル・カルーヤ君、初見でした。

カメラマンのダニエル君は白人ガールフレンドの実家に挨拶に。歓待を受けるも黒人の彼氏ということで何だかギクシャク・・・黒人使用人たちの様子も何だかギクシャク・・・白人親類たちがやってきてのパーティーも何だかギクシャク・・・。ある夜中、ガールフレンドの母親に声をかけられて話をしているうちに、ティーカップのスプーンの音によって催眠術にかけられて・・・というスリラーです。

色々な解説サイトにあるように単なるスリラーではなく、黒人差別へのアイロニーになっていて、それも黒人を下に見る白人という構図を通り越して、「黒人に憧れる白人の狂気」として描かれます。この辺はポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』における貧富格差への怒りにも通ずるものがありますね。

本作の監督・脚本のジョーダン・ピール氏はそもそもコメディアンということで、伝えたいポイントを「笑い」や「恐怖」というオブラートで上手く包んで観客に飲み込ませる術に長けているのでしょう。

元々はバッドエンドだったところ、アメリカで警官による不当な黒人の射殺が続いたので、敢えてハッピーエンドに差し替えたとのこと。道理で何だか取って付けたようなエンディングになっています。「これで一件落着か」って、おい!そこら中に死体が転がっているし、車は大破してるし、多分屋敷は火事だし・・・なんでやねん!!もうええわ!って監督、よっ、流石コメディアン!

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