こうふく あかの Book 2019/01/20 0 西加奈子(2008年/小学館)図書館から借りている本が手元に溜まっているので、もう片っ端から読んでいる状態で、本作は西さんの作品にもかかわらず泣かずに読了かと思って気を抜いたラストの3行で泣かされてしまいました。西先生、油断も隙もありません。西さん作品の定番ともいえる、最初はシンドイ登場人物がどんでん返し的に変化をしていくストーリーなのですが、今回は最後までシンドさを引きづって土俵際いっぱいでのう... Book
消滅世界 Book 2019/01/20 0 村田沙耶香(2015年/河出書房新書)映画『ドーン・オブ・ザ・デッド』と同じくこちらも「シチュエーションスリラー」と言えるでしょう。「夫婦で愛し合うのは近親相姦」「それぞれ外で恋人を作るのが当たり前」「子どもは体外受精で」。我々の「正常」「常識」をこれくらい明快に揺さぶる小説というのもないですね。「何言ってるの。家族じゃない。駆け落ちするときだって一緒なのが家族でしょ」というセリフには思わず吹き出... Book
サラバ! Book 2019/01/14 0 西加奈子(2014年/小学館)ずっと読みたかったこの作品、やっと読み終わりました。2015年の第152回直木三十五賞受賞作品です。会見の際、後半がずっとプロレスの話で「あれ?私何の話してるんでしたっけ?」という西さんが最高にキュートでしたね。もう終盤では主人公とヤコブとエジプトのナイル川のほとりで一緒に泣いてました。西さんの作品にはいつも泣かされちゃうんですね。冷静に考えると一体何に泣いているのか... Book
ミッキーたくまし Book 2019/01/13 0 西加奈子(2009年/筑摩書房)小説もさることながら、そのトークの素晴らしさも魅了的な西さんのエッセイということで、期待の一冊でした。いやあさすが西さん、想像を超えるエッセイでした。動画でみる出版関係のインタビューでの熱いものはらみながらも抑え気味な受け答えや、椎名林檎さんの懐に自然に飛び込む潔さやオールナイトニッポンでオードリー若林氏との爆裂天然トーク・・・当方なりに色々な西先生の側面を見ること... Book
コンビニ人間 Book 2019/01/03 0 村田沙耶香(2016年/文藝春秋)第155回芥川龍之介賞受賞作品。作者の村田さんと同じくコンビニ店員である主人公の物語という前情報だけありました。主人公の幼少の「死んだ小鳥」や「喧嘩仲裁」のエピソードが彼女の持つ「特異性」をクローズアップするのですが、その先にある「何が特異なのか分からない」という強固な普通さが、世間の「普通」とのギャップとなって、その境界線をぐいぐい揺さぶります。揺さぶられるのは... Book
きりこについて Book 2018/12/23 0 西 加奈子(2011年/角川書店)西さんはよく「美醜」をテーマに取り上げられますが、本作も「ブス」なきりこさんが主人公の物語です。椎名林檎さんとの対談で椎名さんが「西さんの作品の登場人物は最初の印象とどんどん変わっていくのが凄い」という主旨の発言をされていますが、まさにそのとおりで、きりこさんも中盤くらいまで「うわー、この子ちょっとしんどいなぁ」と思わせて、どこかでそのしんどい「捻じれ」のようなも... Book
どつぼ超然 Book 2018/12/23 0 町田 康(2010年/毎日新聞社)西加奈子さんが好きな作家さんということで。読むのは第123回芥川賞受賞作「きれぎれ」に続いて2作目です。相変わらず泥玉を手づかみで投げつけてくるような文章です。「田宮」という街が舞台なのですが、「お紺の松」のところで「あれ?これはあの街のことでは?」と思い当たる。ご丁寧に有名な像の写真も掲載されているので間違いありません。それからはGoogleMapのストリートビ... Book
窓の魚 Book 2018/11/07 0 西 加奈子(2008年/新潮文庫)二組のカップルが山奥の川沿いにある温泉旅館にバスでやってくるところから小説は始まります。というと実にのんびりとした内容なのかと思いきや、いや、実際、第一章の「ナツ」を読み終えたときには「繊細な感じだなぁ」というくらいの印象だったのですが、その次に「ナツ」たちとたまたま温泉に一緒に入っていた老夫婦の奥さんの目線でのモノローグが入ると、同じシーンなのに「え?」という微... Book
しろいろの街の、その骨の体温の Book 2018/11/03 0 村田 沙耶香(2012年/朝日新聞出版)これも西加奈子さんお薦め本。そもそも村田沙耶香さんは日本経済新聞夕刊のコラムを週1回半年担当されていて、それが好きだったんですね。『「走らせている人」たち』という文章なんかEverNoteに残したりしてます。「皆、車や電車で窓の外に人間を走らせているじゃん? 赤信号とか駅で停まったとき、その人間、どうさせている?」という内容。その場にいたメンバーでは「走らせ... Book
きれぎれ Book 2018/11/03 0 町田 康(2000年/文藝春秋)西加奈子さんのインタビューの中でお名前が出ていて、近所の図書館でたまたまみかけたので。なんと芥川賞受賞作です。これは期待大。出だしから「無数の大黒天吉祥天女が舞い踊っている。」もう言葉によるリオのカーニバル状態です。しかも陰鬱さを底辺にそれが最後までずっと続きます。映画でも途中でストーリーを追うの諦めたときに、ちょっと気持ちが解放される感覚がありますが、のっけからそ... Book