レイチェルの結婚

Cinema

(2008年/アメリカ)

ジャケットには大きな瞳と整い過ぎた顔立ちがもはや昭和の漫画に出てくるヒロインを彷彿とさせるアン・ハサウェイ。タイトルが「レイチェルの結婚」とくれば、誰がどう考えてもキラキラなシンデレラストーリー・・・絶対に観るもんかと思っていましたがあろうことか鑑賞。

やれやれ、のっけからベンチで浮かぬ顔のアン・ハサウェイ嬢が煙草をふかす・・・煙草?

というわけで、レイチェルはアン嬢のお姉さん。素行のよろしくない妹が更生施設を出て、2日後に控えた結婚パーティの準備に浮足立つ家族と友人グループの元に。結婚式というおめでたいムードに水を差すような妹の存在が周囲や彼女自身にも波風を立てて・・・というような内容です。

監督はあの『羊たちの沈黙』のジョナサン・デミ氏。ちょっとザラッとして色が抜けたような質感ですね。カメラは終始ハンディ。結婚パーティを撮るプライベートムービーのような効果を狙っていると思われますが、それもときどき「そうかな」と思うくらいでやっぱり映画監督が撮るとどうしても映画っぽくなるもんです。当たり前と云えば当たり前ですが。

何しろ役者さんたちが上手いです。起伏らしい起伏がないストーリーでありながら、妹と姉と父親と離婚した母親の行き所のない苛立ちがちょっとした表情やセリフでそれぞれこちらに伝わってきます。幸せムードと不穏なムードが入り混じるこの淀んだ空気感たるや。全体に生演奏の音楽が散りばめてあるのが救いですね。

数々の映画賞を受賞した本作。良い映画には間違いないのですが、「昭和の漫画ヒロイン」が演じるには場が違うような。「この映画の演技で一皮むけた」という評価もその通りなのでしょうけれど、何だか「掃き溜めに鶴」のような違和感が拭えませんでした

「昭和の漫画ヒロイン」的女優さんというのもそれはそれで大変です。

コメント

  1. C&P より:

    いや、間違いないです。アン・ハサウェイ嬢のキラキラ瞳は目蓋に油性ペンです。「はい、アンちゃん!眼を閉じてぇ!!いいねぇ、そのまま寝ててもいいよぉ。・・・はい、スターット!」みたいな撮影風景だったんじゃないでしょうか。
    それにしても「泥酔」「ノー眉毛」「スキンヘッド」という最恐な先輩にペンで眉毛とは・・・背筋も凍るような緊迫感・・・そして次の瞬間「めっちゃええやん!!」とはしゃぎまくる泥酔ペン眉スキンヘッド氏・・・映画にして下さい。はい、スターット!

  2. OJ より:

    アン・ハサウェイ嬢、ネットでチェックしました。なるほど確かに昭和の漫画ヒロイン!一瞬、目を閉じていてまぶたの上に油性ペンで目を描いているのではないかと勘繰ってしまいました。この目ではどこにいても掃き溜めに鶴になってしまうでしょう。でも数々の映画賞を受賞した作品であれば、内容は昭和漫画とは違うようですね。
    関係ない話で恐縮ですが、昔泥酔した眉毛のないスキンヘッドの先輩の顔にペンで眉毛を描いたところ、超男前になって爆笑したことを思い出しました。先輩もドヤ顔ではしゃいでました。