完全犯罪クラブ

Cinema

(2002年/アメリカ)

もうタイトルからして漂うB級感に期待大。しかし女刑事役がサンドラ・ブロック姐さんとは結構きちんとした作品かも(ちなみに製作総指揮も)。完全犯罪を仕掛ける有閑高校生の一人は若かりしライアン・ゴズリング君。うーんひょっとしてAマイナスくらいの作品かも。

ゴズリング君とクラスメートによる緻密な「完全犯罪」をサンドラ姐さんが微に入り細を穿って突き崩していく息詰まるストーリー展開、といきたいところなのですが、これがちっとも「完全犯罪」の体を為しておらず、サンドラ姐さんの過去の心の傷や相棒刑事とすぐコトに至っては冷たくあしらう異常な「ツンデレ」ぶりも本編にほとんど関係なく、ラストも「もうこんな終わり方しか出来ない次第でして・・・」という尻つぼみ具合。よし!しっかりちゃんとB級!!

ネタばれみたいになりますが、この映画の題材はレオポルドとローブという学生が実際に犯した誘拐殺人で、あのヒッチコックの『ロープ』のモチーフにもなっています。これも本作と同じくニーチェの超人思想の信奉者にして、完全犯罪を信じて疑わない二人の話で、死体がいつ見つかるかドキドキしながら観たものです。

なまじタイトルに「完全犯罪」とあるので冒頭のような頭脳合戦を期待しちゃいますが、これは知って知らずかのミスリードで、題材である実際の事件もヒッチコックの『ロープ』も全く「完全犯罪」軽視。死体を隠した箱の上に料理を並べてパーティーする(『ロープ』)なんて完全犯罪を馬鹿にするにも程があります。

なので、そこはあくまでも「完全犯罪クラブ」。頭が良すぎて、有閑すぎてちょっとおかしくなった人たちの完全犯罪「ごっこ」をネタにしたいわばコントなわけです。「動機のない殺人」というのは犯罪学的にはテーマになるのかもしれませんが、そのまま脚本にするには掴みどころがないんでしょうね。

原題『Murder by Numbers』は訳が難しいですが、ちょうどザ・ポリスに同名の曲があって、あるサイトでは『殺人数え唄』と訳されてました。まぁそんなノリですね。ちなみにこの曲のオチは「殺人界のトップは政治家。指の一本も動かさない」うーむ、さすがポリス。

というわけで、どちらかというと苦手なサンドラ姐さんとゴズリング君にいかんともしがたい脚本が絡んだ、実にB級グルメなテイストの作品でした。

コメント

  1. OJ より:

    これは「まず犯人が完全犯罪を企てる様を見てから、刑事がそれを崩していく様子を見る」という構図のストーリーでしょうか。子供の頃テレビでよく放映していた「刑事コロンボ」シリーズもそうで結構好きでした。コロンボはいかにも冴えない中年刑事で、大抵そこに犯人が油断してしっぽを出すというパターンだったのですが、子供心にあれはコロンボの作戦だろうと思いながら見ていました。
    それにしても「相棒刑事とすぐコトに至っては冷たくあしらう」とはツンデレの域を超えて何かのプレーの様で好感が持てますねw アメリカのB級映画は侮れません。

  2. C&P より:

    仰る通り「刑事コロンボ」の構図です。その場合コロンボ氏が頭をポリポリ掻きながらのらりくらりと、でも確実に犯人を追い詰める様(それを子供心に「作戦」と見切るOJさんの慧眼たるや!)を見ていれば成立するんですが、本作では有閑高校生2人組の動機なきナンチャッテ完全犯罪が軸なので、パンチが弱いんですね。なので客寄せパンダ的にサンドラ姐さんが登場するも、それだけではまだパンチが弱いので、よく分からない性癖でインパクト狙い・・・もうツギハギだらけです。でもここまで来るとグルっと一周回って確かに好感を持てちゃうんですね。エンドロールで流れる沢山のスタッフ名を見ながら「誰か止める奴はおらんかったんか?」と。全く以て侮れません。議会とか占拠してないで、本作でも観て大国の余裕を取り戻して欲しいものです。